表題番号:2025C-278 日付:2026/03/29
研究課題情報理論的確率分布近似問題に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) データ科学センター 教授 野村 亮
研究成果概要

本研究では、情報理論的確率分布近似問題を取り扱った。特にその一つである通信路Resolvability問題における最適レートの導出を中心に研究を行った。チャネルResolvability問題とは、与えられた通信路の出力分布を一様乱数と通信路を用いて近似する問題である。近似尺度として一般的なfダイバージェンスを採用し、最適レートの上界および下界の導出に成功した。

特に変動距離に対しては上界と下界が一致し、正確なε-最適レートを決定できた。さらに、Hellinger距離やJensen-Shannonダイバージェンスなど多くのfダイバージェンスに対しても、ε=0における正確な0-最適レートを決定することに成功した。従来研究では変動距離やKLダイバージェンスなど個別の距離尺度が主に扱われていたが、本研究ではfダイバージェンスという統一的な枠組みのもとで包括的な結果を得た点に意義がある。

派生問題として、符号語コストを伴う可変長符号化におけるオーバーフロー確率の基本限界についても研究を行った。一般情報源に対して有限長における精密な上界と下界を導出し、最適な達成可能オーバーフロー閾値がスムースRényiエントロピーにより特徴づけられることを示した。具体的には、達成可能閾値はスムース最大エントロピーにより、達成不可能閾値はスムース最小エントロピーによりそれぞれ記述されることを明らかにし、非漸近・漸近の両設定において符号化定理を導出した。