表題番号:2025C-269 日付:2026/04/03
研究課題戦争の記憶構築過程に係る社会学的研究――神風特別攻撃隊草薙隊を事例として
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 平山郁夫記念ボランティアセンター 講師 筒井 久美子
研究成果概要
2025年度は3つの成果を得た。
神風特別攻撃隊草薙隊は名古屋海軍航空隊で編成され、第一国分基地、第二国分基地へ移動し特攻出撃を行った。第一国分基地は旧国分市、第二国分基地は旧溝辺町に位置していたが、それぞれの地域で特攻関連の碑が建立され、慰霊祭が継続され、資料や遺影を展示をする場が作られている。第二国分基地では、記録誌も編集されている。旧国分市と旧溝辺町を事例として、地域において、多様な戦争の記憶があるなかで、特攻の記憶はどのように見いだされ、残されてきたのかについて、日本社会学会大会(2025年11月15日)報告を行った。

②名古屋海軍航空隊があった愛知県豊田市を事例として、「草薙隊の記憶」を、どのような主体が、どのように記憶を残してきたのかを明らかにした。①町村合併が取り組みのきっかけとなっていたこと、②複数の取り組み主体間で記憶の「想起」や「書き直し」が行われていたこと、③慰霊祭に協力してきた自治区の人々を取り組みを託す相手として選択していたこと、④従来研究では地域住民への記憶の「内面化」が指摘されていたが、本事例では自治区内外の事情が慰霊祭継続に繋がっていたこと、⑤従来研究で指摘されていた「観光化」「慰霊」とは異なり、本事例では「地域課題解決」の枠組みで取り組みが継続されていたこと、⑥地域にある慰霊碑を地域のために活かそうという考え方が登場していたことが、「地域課題解決」という新たな枠組みへの置き直しを可能にしたこと、が明らかになった。この成果を『応用社会学研究』(68号)に掲載した。

③戦争の記憶は、ある時期に継承すべきものとして見いだされ残されてきたものである。中でも「特攻の記憶」は、地域住民の経験ではないにも関わらず、地域社会で継承されているという点で特異である。そこで、鹿児島県旧溝辺町を事例として、「特攻の記憶」を事例として地域社会において、なぜ特定の記憶が継承すべきものとして見いだされ、残されてきたのかを明らかにした。この成果を『社会学評論』に投稿、現在審査中である。