表題番号:2025C-262 日付:2026/03/19
研究課題高等学校「数学Ⅲ」における探究型授業の実現可能性の考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 成瀬 政光
研究成果概要
 本研究の目的は,高等学校数学科の「数学Ⅲ」において,授業時間のすべてを探究によって展開したとき,生徒が学習する必要性を伴ってさまざまな数学的知識を学習し,試行錯誤が生じるための条件はどのようなものかを明らかにすることである。本研究では教授人間学理論 (ATD) を拠り所とし,探究をStudy and Research Path (SRP) という枠組みにより捉える。本研究の一連の作業は,(1) 基本認識論モデルの構築;(2) 基本認識論教授モデルの構築;(3) 基本認識論教授モデルを参照した授業設計と実践;(4) 導入可能性の検討である。
 今年度は作業 (4) を実施した。前年度までの作業において,定積分の指導を目的とした探究型授業を設計・実践した(成瀬・宮川,2025)。その授業は「曲線で囲まれた部分の面積はどのように求めるか」という問いを起点にして探究活動が始まった。その授業では,生徒がさまざまな求積法を取り入れ,生徒から生じたさまざまな面積を求める問いを追究する中で試行錯誤していた。一方,微積分学の基本定理を用いる定積分の計算と区分求積法という二つの計算の理論的なつながりを追究する活動は,テキストの内容をフォローする調べ学習が中心となっていた。今年度の作業 (4) では,生徒のこうした活動に影響を与えた要素を分析した(生態学的分析)。この分析では「相互決定レベル」という概念にもとづき,これらの要素が扱う題材や単元の水準にあるのか,学校や国といった水準にあるのか位置づけた。こうした分析を通じて,期待する活動を生じされるために,教師が授業をいかにコントロールすることができるか検討できる。今回の分析では,定積分の指導するための探究型授業がどのような要素に影響を受けているか,どのような高校であれば授業を実現しやすいか,一般の高校ではある程度活発な活動が可能であるか,といったことを検討し,今後の実践に向けた示唆を得た。