表題番号:2025C-261 日付:2026/04/04
研究課題韓国における法教育の現状と課題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 羽田 真
研究成果概要

本研究の目的は、韓国の中学校社会科における法教育、特に憲法教育の現状を明らかにすることにある。現代社会において、法の支配や基本的人権の尊重を理解する法教育の重要性は高まっているが、その教育内容は各国の歴史的背景や政治体制を反映し、独自の特色を有している。本研究では、現地で収集した検定教科書の記述内容を精査することで、韓国における憲法教育の特質を抽出することを計画した。さらに、日本の社会科教科書との比較を行うことで、法教育における両国の共通性と相違点、および今後の課題を提示することを目指している。

本研究では、主に以下の3つのステップで調査・分析を行っている。

1.資料の収集と翻訳:2026年度は、韓国での現地調査により、複数社の出版社が発行する中学校社会科の検定教科書を収集した。現在、これらの記述内容の正確な把握のため、翻訳作業を進めている。

2.憲法記述の構造分析:韓国における憲法学の知見をふまえつつ、教科書における「憲法の基本原理」「人権保障」「統治機構」の記述構成や配分を分析する。特に、韓国独自の歴史的経緯(民主化運動など)が憲法理解の記述にどのように影響しているかに注目している。

3.日韓の比較検討:翻訳・分析を終えた韓国の教科書と、日本の社会科(公民分野)教科書を対照させる。憲法改正への言及、国民の義務、司法への参加(国民参与裁判制度等)といった項目における教育的アプローチの違いを明確にする。

現在までの分析過程において、韓国の教科書は日本と比較して、憲法知識に関連する記述が多いことが分かっている。いかなる文脈で憲法が捉えられているかの傾向については今後の分析によるが、具体的な法的思考力を養うための法教育的な記述についても注目していきたい。

今後の課題としては、これら日韓の教育的相違が、両国の生徒の主権者意識や法意識の形成にどのような差異をもたらしているかを考察する必要がある点を挙げたい。本研究は、グローバル化が進む東アジアにおける、より望ましい法教育の在り方を模索するための基礎資料となることを目指したい。

なお、本研究の一部として、グローバル・シティズンシップの育成をテーマにした日韓学術交流プログラムの実践を行い、その成果について検証したことを付記しておく。