| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 高等学院 | 教諭 | 井上 貞行 |
- 研究成果概要
火成岩中の結晶成長については、中学校理科において特に重点的に扱われている。代表的な生徒実験としてはチオ硫酸ナトリウムを用いて冷却速度を変え、それによって生じる結晶の大きさの違いから火山岩、深成岩のでき方の違いを説明するものである。しかし、実際のマグマの冷却において生徒が観察可能なスケールで冷却時間による結晶成長の違いがどのようにみられるかについては十分に確かめられていない。大規模な岩体ではなく、小規模な露頭サイズの岩脈でのマグマの冷却による冷却時間による結晶成長の違いについては、野外での観察も少数ではあるが報告されている(E.ROSS(1986))。しかし、それらは主に斑晶のサイズの分布を測って議論を行っている。また、その結果も結晶の冷却速度によるものではなく、flow differentiationによるものであると結論付けられており、冷却時間による結晶成長の違いを十分にサポートするものではない。そこで本研究では第一次の段階として数地点で岩脈からサンプルを採集し、薄片を作製し斑晶ではなく石基の大きさを測定した。それによって岩脈の接触地点から中心部に向けて顕著な変化がみられることを示した。また、さらにXRFを用いて岩脈の接触地点からおおよそ1㎝刻みで9地点において元素の組成の変化を測定した。その結果、縁から中心部にかけて不適合元素のKとRbが顕著に増加する傾向がみられた。それに対して、適合元素CaやMgは中心部に向かって減少する傾向を示した。これらのデータから調査地域での岩脈は石基の大きさの変化がみられるのは、Flow differentiationにおる集積作用ではなく、マグマが周辺岩石に接した際に冷却され、縁側が先に固まり中心部の液相がより分化した組成となっている説が支持されることがわかった。