表題番号:2025C-252 日付:2026/04/02
研究課題南米移住者の移住先での職業に関する情報把握
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 高等学院 教諭 佐々木 智章
研究成果概要
戦前から戦後の日本人のアルゼンチン移民のほとんどは自由移民で、家族や親せきなどによる呼寄せになるため、移住先でまず同じ職業に従事する。そのためアルゼンチンの場合、日本人は蔬菜・花卉栽培、洗染業への集中がみられること、沖縄県出身者が多いことが特徴である。本研究では、アルゼンチンにおける沖縄県出身者が渡航以前に現地での職業についてどのような情報を持っていたのか明らかにすることを目的とした。研究は、『アルゼンチン、沖縄移民100年の歩み』、沖縄県の中でもアルゼンチン移民が多い大里村(現在の南城市)が発行した『大里村史移民本編』などの移民史、アルゼンチンから沖縄に戻った人々にインタビュー調査を行った水谷(2011)の記述などをもとに行った。まず結論から述べると、当時のアルゼンチンの生活水準の高さや景気の良さについて漠然としたイメージがあったことは資料から伺えるものの、農業や洗染業のような現地の職業に対してどのような情報を持っていたのか具体的な記述は得られなかった。移住の経緯に関しては「父の呼寄せで」などと簡単に述べられているものが多い一方で、「…収入は少なく大変な貧乏でしたので…」「…戦後の苦しい生活状況や軍作業のワンパターンの仕事…」など当時の生活の厳しさについて触れたものは多くみられた。以上のことより、移住先の職業についての具体的な情報よりも、戦前はサトウキビやイモ類を中心とした零細な農業での厳しい生活から、戦後の場合は太平洋戦争後の混乱と厳しい生活から抜け出すいわゆるプッシュ要因が重要であったことが明らかになった。しかし今回の結果は特定の市町村における記述からに過ぎない。他の市町村の情報にあたることや、現地での聞き取り調査に際にこの点について情報を得ることが今後の課題として残った。