表題番号:2025C-240
日付:2026/04/06
研究課題社会的課題を通した日本語コミュニケーションに関する研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 日本語教育研究センター | 准教授 | 吉田 睦 |
- 研究成果概要
- 本研究では、社会的課題に対する日本語学習者のコミュニケーションに焦点を当て、授業研究および実践的な日本語使用場面に関する調査計画を行った。授業研究では、初級日本語学習者を対象とした文章表現科目において、話し合いを活用した作文活動を実践し、その効果を検討した。個人的経験から文化差や社会問題、国別データの比較等の社会的視点へと発展させるコースデザインを行い、書字行動に関する背景調査や学習者の作文分析を通し、初級学習者が話し合いを通して社会的な視点を共有する取り組みを明らかにした。学生への背景調査からは、デジタル化が進展する中でも、日本においては社会的場面における書字行動の重要性が依然として高いことが示された。一方で、タイピングによる短文作成の増加が確認され、多様な読み手や文体を意識した指導の必要性が明らかとなった。さらに、ディスカッションや相互コメントの分析から、話し言葉と書き言葉の双方が、初級段階のコミュニケーション能力および意見共有に寄与することが示唆された。以上より、個人的経験から社会的課題へと視点を段階的に拡張し、内容を重視した自律的・社会的な日本語能力を育成することの重要性を指摘した。 研究後半では、生涯教育としての日本語使用に着目し、子育て・教育支援に関する会話調査を計画した。本調査は、子を持つ非日本語母語話者および日本語母語話者を対象に、就学前教育および学童期の教育場面における困難や支援に関する会話資料を収集するものである。当初は具体的な社会課題事例を通して実践的な日本語使用の現状と課題を考察する予定であったが、調査計画上の都合により実施は次年度へと延期された。今後も本調査を継続し、社会的場面における実践的な日本語使用について研究を進めていく予定である。