| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科 | 教授 | 中嶋 聖雄 |
- 研究成果概要
本研究は、2001年・中国のWTO加盟以降、現在にいたるまで、中国映画産業がどのようなメカニズムのもと発展を遂げたのかを、社会学における制度論の視点を援用して明らかにすることを目的とした。「自由主義市場経済」対「政府主導型経済」という二項対立図式をとらず、経済・産業的発展と政府による産業政策が相互作用しつつ、映画産業の発展に結びついたという仮説をもとに研究を進めた。より具体的には、文化社会学における「文化の生産パースペクティブ」(Production of Culture Perspective)により提起されている「六面モデル」(Six-Facet Model)に基づき、1)法律と規制、2)産業構造、3)組織構造、4)消費者市場、5)職業キャリア、6)技術、の六つの側面に着目しつつ、現代中国映画産業の発展を制度システムの変動としてとらえることを企図した。関連書籍および雑誌・統計年鑑等の既公刊資料のほか、申請者がこれまで蓄積してきた中国映画産業との人的ネットワークを利用した聞き取りを行い、上記、制度論的枠組みの実証的有効性を検討した。2025年11月22日~27日まで中国・吉林省・長春を訪問し、東北師範大学伝媒科学学院(新聞学院)で開催された映画研究に関する国際シンポジウム“MONTAGE: Echoes of the Orient: Cross-Cultural Film History and Global Cinema Research Forum”にて、本研究に関する中間報告を行った。その際、長春映画制作所の跡地に立つ長影旧址博物館を訪問・見学し、帰国後、その調査ノートから、特に長春映画制作所に関して「六面モデル」を適用したケーススタディを進めた。その結果、「六面モデル」とともに、経済社会学において用いられる「経路依存性」(path dependence)概念の有用性を認識したため、今後の研究においては、歴史社会学的視点も援用し、「六面モデル」に時系列的な変化を取り入れることの必要性を確認した。成果としては、近年急速に発展し、海外市場への進出も加速している中国のアニメ映画産業に焦点を絞った下記論文を執筆・出版した。