表題番号:2025C-233 日付:2026/04/02
研究課題国連海洋法条約における外部規則の位置づけ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 大学院アジア太平洋研究科 准教授 瀬田 真
研究成果概要

本研究課題においては大きく二つの研究を進展させた。一つが、世界貿易機関(WTO)漁業補助金協定と海洋法条約の関係である。この問題の実態的側面、すなわち、漁業補助金協定が海洋法条約上の権利義務、具体的には沿岸国が排他的経済水域に有する主権的権利にどのような影響を及ぼすかなどを検討した。その中で、外国が漁船に補助金を出すことについて、排他的経済水域の沿岸国として規制を及ぼし得る点を指摘した。この点については、Impact of the WTO Agreement on Fisheries Subsidies on the Rights and Obligations Under UNCLOSと題する論稿を、Max Planck Yearbook of United Nations Lawに発表した。これに加え、手続的側面、具体的にはWTOUNCLOS裁判所の管轄権の関係についての原稿を執筆している。特に、WTOの紛争解決手続きが現在予定していた形で機能していないこともあり、その状態を、海洋法条約の紛争解決制度の観点からどのように評価すべきかについて検討した。第二に、慣習法上の海戦法規の規則と海洋法条約の関係も検討した。特に、中立国が、自国の排他的経済水域においてどの程度の権利を主張することができるかについては、UNCLOS during Armed Conflict: Due Regard in the Exclusive Economic Zones of Neutral Coastal Statesと題する論稿をInternational and Comparative Law Quarterlyに掲載している。その中では、サンレモマニュアルとニューポートマニュアルという、異なる主張を展開する二つのマニュアルを調和的に解釈することを試みている。さらに、環境条約が海戦法規にどのような影響を与えるか、海洋法条約を通じての影響が考えられるかについても、共著で論文を執筆している。現在、第一ドラフトを起草した段階にあり、2026年内の投稿を目指している。