表題番号:2025C-222 日付:2026/04/03
研究課題グローバルガバナンスの概念と民主的な国際秩序との関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際学術院 国際教養学部 教授 池島 大策
研究成果概要

 グローバルガバナンス(GG)は、従来の国際秩序を補足するだけでなく、より良い統治を地球規模において実施するために今や必要不可欠な概念となりつつある。国家主権だけに固執した国内管轄事項の概念と、それに依拠した内政不干渉原則などの、旧来の国際法では、各国の人権尊重やその国際的な保護などを地球規模で達成することは難しい(成果の一部に、単著論文1)。

一方で、地球環境の保護といった、いずれの国にとっても利害関係のある法益については、国際社会全体の利益とか共同の利益といった概念から、国際秩序を再構築する必要が現代では生じている。特に、気候変動、公海汚染、大気汚染などのような事象から、基線・海岸線の上昇や変異に伴って島嶼国の国境、領土、領海などの地形変容だけでなく、定住者の強制移住や国土放棄、平和に生活する権利の侵害といった状況が生じている。こうした事態を国際社会において改めて国際環境法や国連海洋法条約を始めとした現行条約を早急に策定・改変する必要が高まっている(成果の一部に単著論文2)。

こうした現実を国家そのものにしか法主体性を基本的に限定した従来の国際法ではなく、より民主的な議論や手続きへの参加を目指すグローバルガバナンスを目指すことが望ましいと考えられてきている。つまり、より多くの法主体として、個人の集合体としてNGONPO、企業体に加え、様々なレベルで法作成のプロセスに関与させ、同時に法の実施を行うような新しい秩序がこれからの国際社会には益々必要になっていくのではないだろうか。その中で、日本としても考えるべき課題が新政権の下でも山積していることが分かる(成果の一部にインタビュー)。国単位だけでの議論に限らず、法主体を広げた水平線の展開にグローバルガバナンスの概念と民主的法秩序の発展は相互に依存する。