表題番号:2025C-208 日付:2026/03/20
研究課題感動がもたらす生理的・心理的・社会的効果
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 野村 亮太
研究成果概要
本研究は,感動がもたらす生理的・心理的・社会的効果の検証のため,感動の多角的な検討を行った.まず,感動の心理的な作用を検討するために,映像作品等の物語を鑑賞することで生じる感動および共感に関する尺度を開発した.従来,感動体験については,いくつかの尺度が提案されているが,そのほとんどは映像作品中の物語に対する感動を計測するものというよりも,一般的な感動傾向を測定するものであった.そこで本研究では,短文に応答する形式で容易に回答できる尺度を開発し,実際に映像鑑賞をしてもらい,その直後に体験について回答してもらった.分析の結果,尺度には十分な内的整合性があることが確認された.最終的には,内容理解から共感を通じて感動が生じるモデルについても検証した.現在,物語感動尺度の構成に関する論文を,森氏・王氏との共同研究として投稿中である.
次に,感動に伴って生じる生理的な変化についても検証できるように,心理生理学的実験の環境構築を行った.具体的には,映像視聴中の視線行動や心拍,涙の量を計測するための環境を構築し,実際に大学生を対象に予備実験を行い,実証実験が実現可能であることを確かめた.本研究では社会的効果の検証までは実現できなかったが,今後の研究では,感動することが単に映像作品の鑑賞体験にとどまるのか,あるいは実社会における向社会的行動にまで影響するのかについて検討する予定である.