表題番号:2025C-206 日付:2026/04/03
研究課題瞳孔と脳波に現れる逸脱刺激反応を利用した潜在的注意機能評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 百瀬 桂子
研究成果概要

無意識・無自覚のうちに視聴覚刺激中の逸脱に気づく、潜在的な知覚と注意に関わる認知機能の生体生理指標を特定することを目的として、楽曲のメロディ展開に対する予測性を反映する瞳孔径変動と脳波変動成分の探索を行っている(特定課題研究助成2023C-218、2024R-043、2025R-045)。これまでは楽曲中の逸脱反応を得るための逸脱音として高ピッチ音のみを使用しており、ピッチの高さそのものによる覚醒反応の程度を確認できていなかった。そこで、本研究では、逸脱音のピッチの高低が瞳孔拡張反応(PDR)と事象関連電位(ERP)に与える影響を、大学生8名を対象とした実測により検討した。対象群に馴染みのある日本の童謡・唱歌11曲から約10秒程度のメロディを選定して刺激とした。各楽曲の最終音を11音高く、もしくは、低くしたものと、原曲のままとする3条件についてPDRとERPを測定した。PDRは、逸脱音高・低いずれにおいても逸脱音なしに比べて有意に増大し、逸脱音高低間では有意な差が認められなかった。逸脱音の出現そのものがPDRの主因であり、ピッチの高低は覚醒反応や定位反応の強さを左右する要因とはならなかったことが示唆された。ERPでは、前頭部P3成分において逸脱による振幅の増大が見られたが、ピッチ高低による差は見られなかった。ERPでは背景雑音の低減が不十分であった可能性があり、今後SNRを改善した解析が必要である。