表題番号:2025C-203 日付:2026/03/02
研究課題高心配性者の情報処理を中核とした社会機能障害の制御プロセスの検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 助手 町田 規憲
(連携研究者) 人間科学学術院 教授 田山淳
研究成果概要

 過剰な不安・心配に伴って臨床的に意味のある苦痛と社会機能障害を経験する難治性精神疾患が,全般不安症である。全般不安症のアナログ状態像である「高心配性者」は,医学的診断を得ていないものの,不安・心配症状と社会機能障害の双方で全般不安症と量的連続性がある。全般不安症では不適応的な情報処理であるCognitive Attentional SyndromeCAS)が中核として想定されている。そして,このCASによって建設的な注意の向け方や他の感情制御方略が阻害されることが問題として想定されてきた。従来の研究では,CASと注意の向け方が別々に検討されていた他,形態レベルの測定にとどまっていた。そのため,両概念を本質的に弁別することに限界があった。報告者の研究により,両概念を日常の文脈でプロセス単位で弁別できることが示された。また,CASから社会機能障害への影響は,CASが注意の向け方を介して社会機能障害を増悪する間接効果が示されており,CASの減弱に加えて注意の向け方を促進することが有用だと想定される。一方で,これを実験操作によって実証的に検討した知見がなかった。

報告者は,臨床的に意味のある水準の社会機能障害を呈する高心配性者を対象に,CASと注意の向け方に介入する研究を実施し,介入待機群との比較を行った。

アウトカム指標の解析の結果,介入群で社会機能障害をはじめとする各種指標が有意に改善しており,介入待機群と比べて3か月フォローアップ時点での群差も有意であった。注意方略やCASをはじめとするプロセス変数でも有意な群差がみられた。

 なお,統制環境下で注意の向け方の形態と機能を測定し,上記で作成していた日常生活下での各方略との関連を検討する研究の予備的検討を進めている。

 以上をふまえて,注意の向け方のより実験的な測定と,関連が想定される変数の中での位置づけの検討,およびそれに基づく精緻な実験操作による変化の検討が求められている。今後はそれらのデータを収集し,認知情報処理の基礎知見との統合的理解と臨床知見の発展を目指す。