表題番号:2025C-193 日付:2026/03/27
研究課題生態系サービスを基盤としたレジリエンス強化の可能性評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 平塚 基志
研究成果概要
地球・地域レベルの環境変化が森林火災のリスクを高めており、森林火災への反応型から予防・備え型への転換が重要になる。本研究は関東平野の狭山丘陵(約3,500 ha)を対象に、森林火災の脆弱性評価を行った。なお、狭山丘陵の大部分は東京都水道局の管理下にあり、許可なしに地域住民が立ち入ることはできない。このことは外部からの火種の潜在的近接リスクを小さくしているものの、火災発生後の消化を著しく困難にしている。本研究では狭山丘陵全域を100 mメッシュに区切り、踏査により森林火災と火災延焼に関係する二次林内のリター層厚と土壌含水率を実測した。また、正規化植生指数(NDVI)、植生タイプ(常緑・落葉)、ナラ枯れの影響(枯死木の程度)、標高を求めた。以上を説明因子として、森林火災の脆弱性マップを作成した。踏査で得られたデータを除く説明因子だけで作成した脆弱性マップは狭山丘陵全域をカバーし、丘陵の中央部から南西部にかけては木質資源(可燃物)の蓄積されており、所高い脆弱性が確認された。加えて、その周辺は住宅地・遊歩道に近く、人為的な火種の潜在的接近リスクが高かった。以上、森林火災の脆弱性は、人為的な出火源の潜在的接近と、木質資源(枯死木≒可燃物)の蓄積という人為的要因の複合性に依存することを示すことができた。今後、森林火災に対して「予防・備え型」に転換していくにあたっては、脆弱性評価に用いるパラメータの寄与度の再評価に加え、人為影響の度合い等を、道路インフラストラクチャー等の状況と踏まえて統合していくことが求められる。