表題番号:2025C-178 日付:2026/03/27
研究課題低炭素社会への移行方法論の確立
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 鷲津 明由
研究成果概要

ボランタリークレジットの研究

地域に遍在する未利用エネルギーを有効活用するための社会システムとしてボランタリークレジット制度について考察し,その先行事例としてのJブルークレジット制度における,2つの優良事例を調査した.その結果,各プロジェクトではプロジェクトの初期段階から,地域内外のステークホルダーが共同して,プロジェクト計画を策定し,地域に裨益する質の高いクレジット創出を行っていた.結果として,ボランタリークレジットは,単なる炭素価格に加え,地域の価値と解釈されるプレミアムを含む価格で取引されていることが分かった.同様のボランタリークレジット制度が,日本の山林保全を目的としたCHPの普及促進事業にも適用できるかどうかについて,フィージビリティスタディを実施した.その結果,総量として「300tCO2以上」の削減効果があり,アグリゲーターやコンサルティング会社などの中間支援機構が,複数の設備(案件)をまとめてクレジットを申請するという制度設計が望まれることが分かった.

 

2015年版の地域間次世代エネルギーシステム分析用産業連関表(IONGES)を用いた研究

地域間IONGESでは,第6次エネルギー基本計画で2030年に想定される水準にまで再エネ構成比が高まり,また,電力システム工学的に最も再エネが活用されるように,再エネの地域分布や地域間送電が実現している状況が記述されている。地域間IONGESを用いて,(1)再エネの地域貢献度についての分析と,(2) 各地域の石炭火力発電所にCCSが導入された効果の分析を行った。(1)について,地産率と地消率の乖離が大きい地域があり,再エネによる環境貢献が適切に地域に還元される仕組みの創設が望まれた。(2)について,CCSの導入が,原単位に大きな影響をもたらすローカルな地域と,総量に大きな影響をもたらす大都市地域とが,相互に異なるという特徴がみられた。CCS導入による日本の最終需要が誘発するCO2排出削減量は,約15750t-CO2である。