表題番号:2025C-177 日付:2026/04/03
研究課題インクルーシブ教育の政策と実態:サハラ以南アフリカに注目して
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 准教授 利根川 佳子
研究成果概要

本研究は、国際的に推進されている、通常学校内によるインクルーシブ教育の考え方に対して疑問を呈し、多様な教育の在り方を「インクルーシブ教育」として捉えなおすことを目的とする。本年度は、エチオピア南部のシダマ州にて、障害児教育に精力的に取り組む2校を訪問し、特別学級及び通常学級の授業観察を行った。これまでは、首都アディスアベバを中心とした調査であったため、今回は地方都市の取り組みを調査できた。調査対象の2校には特別支援教室が設置されているほか、特別教育専門の教員が配置されており、学区外に居住する障害のある子どもも就学するモデル校であった。主に知的障害のある子どもから成人が特別支援教室で学び、視覚や聴覚障害のある生徒は通常学級で学んでいた。対象校の1校の特別支援教室では、他校から転入してきた聴覚障害のあるこどもたちが手話を学んでおり、それを見ていた知的障害のある子どもたちも一緒に手話を学ぶ様子も観察した。また、対象の1校では、手話のできる教員がおり、その教員が聴覚障害のある生徒が学ぶ通常学級にて手話通訳をしていた。ただし、手話通訳として配置されたわけではないが、手話通訳をしていることを鑑み、担当授業数を削減するなどの配慮がされていた。本来であれば追加的に手話通訳が配置されるべきだが、主に予算・人材不足からそのような状況にはない。今回の調査は短時間であったため、次回は調査期間を延ばし、教員、保護者、生徒へのインタビューの実施を計画している。また、今年度はUNESCOが主催する障害のある教員に関するワークショップで、エチオピアの状況について発表を行う機会を得た。他国の話も聞くことができ、今後の研究の参考となった。