表題番号:2025C-172
日付:2026/04/03
研究課題日本近代浪漫主義の起源の再検討
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 准教授 | チン ロ |
- 研究成果概要
本研究は、日本近代浪漫主義の起源を再検討することを目的とし、従来の西洋影響中心の解釈枠組みに対して、雑誌メディア、古典的伝統、東アジア思想の交錯という三つの視座から、その生成過程を総合的に解明したものである。主な研究成果は以下の通りである。
第一に、資料的基盤の側面において、本研究は明治期の雑誌『文学界』を中心に、関連資料の体系的整理・精読・分析を行った。掲載作品および評論、さらには言説空間の構造を精緻に検討することにより、「浪漫主義」という概念が確立される以前の日本における言論空間を再構築し、その成立以前の思想的文脈を明らかにした。
第二に、思想的源流の側面において、本研究は日本近代浪漫主義と日本古典文学との内在的連関に着目し、西行・鴨長明・兼好・芭蕉といった古典的表象が明治期にいかに再評価されたのかを考察した。その結果、近代知識人は西洋ロマン主義を単に移入したのではなく、日本古典に内在する「漂泊」「自然」といった思想を再解釈する過程において、内発的な浪漫主義的言説を構築していたことを明らかにした。
第三に、東アジア的視座において、本研究は中国の隠逸詩人陶淵明の受容を手がかりに、その思想が明治期の浪漫主義文人といかなる関係を有していたのかを検討した。明治知識人による陶淵明言説を分析することにより、その隠逸思想が日本へと伝播・変容していく過程を描き出し、中国文化の視点から日本近代浪漫主義に対する新たな解釈の手がかりを提示した。
以上三つの研究成果は、それぞれ異なる国際学会において報告され、継続的な学術的対話と検討を通じて、さらに深化・精緻化が図られている。