表題番号:2025C-169
日付:2026/03/28
研究課題視線情報を活用したまち歩き観光における消費行動メカニズムの解明
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 | 講師 | 家入 祐也 |
- 研究成果概要
- まち歩き観光は,観光地の新たな消費機会拡大を実現させる形態として期待される一方で,まち歩き観光において消費行動が発生するメカニズムは不明瞭なままであり,まち歩きを活用した観光地マーケティングには至っていない.そこで本研究では,観光客の感興度の時系列変化を示す指標の一つとして,皮膚電気活動(EDA)データに着目し,アイトラッカーから収集される視線情報,まち歩き後の領収書回収によって得られる消費活動データ,と統合的に分析することで,視線情報と消費行動の間の関係性解明を試みた.具体的には,EDAデータを起点として,視線情報や会話情報などの文脈情報を統合的に捉えるMulti-modal Transformerを構築し,まち歩き観光において消費行動が,どのような要因の組み合わせによって生起するのかを解明する方法を整えた.本モデルの有効性を検討するために,静岡県熱海市で102名を対象とした実証実験を行い,まち歩き観光における観光客のEDAデータ,視線情報,会話情報,位置情報,消費行動データ,などを含む複合データセットを構築した.実験から得られたデータに対して,本モデルを適用した結果,得られた主要な知見として,下記の2点が挙げられる.・モデルの予測性能については,F1-score平均値が0.2702であった.一方で,FP事例(購買行動ありと予測したにも関わらず,実際は購買行動なしだった事例)を精査したところ,約85%が消費行動に関連する状況を含んでおり,本モデルが,消費行動に関連する文脈的情報を一定程度捉えていることを確認することができた.・FP事例の精査の過程で,消費に至らなかった阻害要因を副次的に特定することができた.今回の実験結果では,同行者との合意形成に起因する購買回避(商品や店舗への関心は示されたが,同行者の意向により購買に至らなかった事例など)や,比較および保留による購入先送り(商品への接触や検討行動は見られたが,購買は保留された事例)などが挙げられる.上記のような知見について,実証フィールドの関係者からは,FP事例分析より抽出された阻害要因は現場感覚とも整合,阻害要因をTIPSとして整理・共有することで現場での活用可能性が示唆された,などの感想が得られている.今後の展望としては,阻害要因分析の体系化,他地域での実践による一般化などが挙げられる.