表題番号:2025C-164 日付:2026/04/02
研究課題MRIによる脳内ネットワークのマルチフラクタル解析とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 教授 鎌田 清一郎
研究成果概要

神経発達障害や脳内疾患の正確な診断には、Magnetic Resonance Imaging (MRI、磁気共鳴画像法)として、構造的MRIデータ(structural MRI, sMRI)や機能的MRIデータ(functional MRI, fMRI)が有効に活用されている。脳内の構造と機能には複雑な相互作用があるため、このような障害あるいは疾患の診断には依然として多くの課題がある。本研究は、これらのモダリティにまたがるフラクタル特性を調べ、sMRIおよびfMRIに適したフラクタル特徴の抽出機構の確立を目指すものである。sMRIに対しては、3次元空間をシングルフラクタル空間特徴、fMRIのBOLD(Blood-Oxygen-Level Dependent)信号に対しては、マルチフラクタル時間特徴の抽出機構の構築を行った。これにより、様々なフラクタル構造特徴を含むマルチモダリティのフラクタル特徴を統合的に抽出することができる。また、これらの表現により、空間的、時間的、構造的次元にわたる脳ダイナミクスの複雑性を捉えることができる。さらに、空間的および構造的なフラクタル特徴のモデル化には3D-CNNを用い、マルチフラクタルの時間的特徴のモデル化には階層的トランスフォーマを利用した。クロスモダリティを統合化するため、モダリティ間の依存関係をモデル化には、フュージョントランスフォーマを適用し、最終的な分類を行った。信号がマルチフラクタル性を有する場合は、スケーリング関数とマルチフラクタルスペクトルを使って解析する。ADHD 200データセットにおいて、約90%の精度を達成し、従来手法の精度にほぼ並ぶとともに、AUC(Area Under the Curve)を約5%向上させた。3クラス分類タスクにおいても、提案手法は精度89%の高い分類性能を示すことができた。ABIDEデータセットを用いても同様の効果が得られた。これらの結果は、神経疾患における提案手法の頑健性を示しており、画像診断のための解釈可能な手法としてその可能性を示唆するものである。