表題番号:2025C-160 日付:2026/03/06
研究課題SU(N)対称性を有する量子磁性の研究に向けたストロンチウム原子気体の冷却
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 大学院先進理工学研究科 教授 福原 武
研究成果概要
レーザーによって極低温まで冷却された原子気体を光格子に導入すると、強相関量子系を高い制御性のもとで実現でき、量子磁性の研究が可能となる。固体中の通常の磁性体では電子スピンに由来する2成分のスピン模型が主に研究されてきた。一方、冷却原子系では原子の内部状態を利用することで、N成分(N>2)のスピン自由度を持つ模型を実現できる。特に各スピン成分間の相互作用が等しい場合にはSU(N)対称性を有する量子磁性模型に対応し、SU(2)対称性の従来の磁性体では現れない新奇な量子相や量子現象が理論的に予測されている。本研究では、基底状態に10個の核スピン成分を有するストロンチウム87原子を用い、SU(N)対称性を有する量子磁性模型を実験的に実現し、その新奇な量子相・量子現象を明らかにすることを最終目的としている。
この研究の推進に向けて学会や研究会に参加し、関連分野の最新動向の把握および研究者との議論を通じて情報収集を行った。また、ストロンチウム原子を用いた冷却原子実験系に関する先行研究の技術を調査し、今後の実験系構築への導入可能性について検討した。さらに、これまでルビジウム原子を用いて実現してきたスピン系実験の成果について発表を行い、量子スピン系の実験手法や物理に関する議論を深めた。装置開発の面では、レーザー冷却光源の構築に必要な光学素子の一部を本研究予算により整備し、今後の実験装置立ち上げに向けた基盤整備を進めた。