| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 武田 直也 |
- 研究成果概要
生体の皮膚や呼気中に放出されるガスに含まれる揮発性有機化合物(VOCs)は、代謝活動や疾病との関連が見いだされており、非侵襲な診断応用に向けたセンシング研究が進められている。我々はこれまでに、VOCsの一つであるエタノールをバイオ蛍光法で検出する高感度なバイオセンサの開発を達成している。酵素のADH(タンパク質)と補酵素であるNAD+(蛍光分子の前駆体)を水溶性高分子の電界紡糸マイクロファイバーの中に組み込み、通常の水系ではなく固体の高分子ファイバー内でタンパク質であるADHを機能させ蛍光分子であるNADHを生成させて、エタノールガスの検出を実現するシステムである。
本研究では、まず本センサの機構解析に取り組んだ。複数種類の高分子のそれぞれについてADHを包埋したファイバー・センサを作製し、エタノールのセンシング機能を評価すると共にファイバー固体内のADHの分光学的な測定を実施し、ADHの標品と比較しながら両者の相関を解析した。FT-IR測定ではタンパク質特有の複数のピークについて波数および強度比を解析し、CDスペクトル測定ではタンパク質のαヘリックスおよびβシートのピークが検出される波長領域を解析した。その結果、センシング機能が高いファイバー・センサは、いずれの分光測定においてもADHの標品と近いスペクトルが検出され、機能が大きく低下したセンサではスペクトルの顕著な変化が測定された。これより、ファイバー固体内でもADHの構造が維持できる高分子が見いだされ、それを基材に用いたファイバー・センサは高いセンシング機能を発現することが明らかになった。また、エタノールとは異なる分子を基質とする酵素を組み込んだ新たなファイバー・センサを作製し機能を評価したところ、対象分子のガスの検出を達成した。