| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 井村 考平 |
- 研究成果概要
金や銀のナノ物質に光励起されるプラズモンは,光増強場を誘起することから,化学センシングや光反応場への応用が期待されている。光増強度は,プラズモンが励起される物質のサイズや形状,材質に依存する。これまでに,複数の金属のハイブリット構造やコアシェル構造が作製され,単一の金属では実現しない特性が報告されている。一方,ナノ結晶の特定の部分を空間選択的に他の金属で置換する手法は確立していない。本研究では,銀ナノ構造におけるガルバニック置換反応により新奇ハイブリットナノ結晶の作製とその光学特性の解明を目指した。
化学合成法により水溶液中に銀ナノ結晶を成長させて反応前駆体とし,ガルバニック置換反応を行うことで新奇ハイブリットナノ構造を作製した。また,ポリスチレン球を自己集合化させ,その上に銀を蒸着させた後に,ガルバニック置換反応により金と銀のハイブリット構造を作製した。これらの試料の形状と光学特性を,それぞれ走査電子顕微鏡と光学顕微鏡により評価した。
水溶液中に合成した銀ナノプレートを用いたハイブリット化では,走査電子顕微鏡観察からプレートの一部が溶解し,金が析出したと考えられる形状変化が確認された。また,元素マッピングを用いた計測から,銀プレートの一部が金で置換されていることが明らかとなった。一方,ポリスチレン球を自己集合化させた試料では,特徴的な構造が生成することが明らかとなった。また,置換反応時に光照射をすると反応がより顕著に進行することが明らかとなった。作製した構造に色素分子を分散させ,その分子からのラマン散乱を計測したところ,金属ナノ構造に励起されるプラズモンに由来すると考えられる増強効果が観測された。ガルバニック置換反応やナノ構造の最適化により,さらに増強効果を高めることで,分子のセンシングや化学反応の基板として利用できると期待される。