表題番号:2025C-141
日付:2026/04/01
研究課題光学活性ピリジニウムイリドを触媒とする不斉ジヒドロフラン化反応の探索
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 鹿又 宣弘 |
- 研究成果概要
- 光学活性ピリジニウムイリドを触媒とする不斉ジヒドロフラン化反応の開発を目的として、面不斉ピリジノファンを用いる触媒系の有効性を検討した。従来、縮環型ピリジンを用いた触媒的不斉ジヒドロフラン化反応が知られているが、触媒合成にはHPLCによる光学分割を要するため、触媒供給やスケールアップの点で課題があった。そこで本研究では、異性化晶出法により光学活性体を得ることができる面不斉ピリジノファンに着目し、不斉ジヒドロフラン化反応における触媒機能を検証した。電子不足アルケンとヨード酢酸エステルとの反応を検討した結果、面不斉ピリジノファン触媒を用いることで、所望のtrans-2,3-ジヒドロフラン誘導体が良好なエナンチオ選択性で得られることを確認した。ついで、溶媒、塩基、炭酸カリウムの形態、および添加剤の効果を系統的に検討したところ、テトラヒドロフラン還流条件が最も良好であり、初期条件では3日間で44%の収率であった反応が、微細粉末の炭酸カリウムおよび18-クラウン-6-エーテルの併用により、1日で60%まで向上した。さらに、DFT計算により、本反応の律速過程と合理的な立体選択性の発現機構を解明した。以上の結果より、HPLCによる光学分割を必要としない面不斉ピリジノファンが、不斉ジヒドロフラン化反応に有用な触媒骨格であることを示した。また、塩基の形態およびクラウンエーテルの添加が反応効率の向上に有効であることを明らかにした。加えて、クラウンエーテルはイリド生成を促進し、律速段階である電子不足アルケンへの付加過程を加速していることが示唆された。これらの知見は、ピリジニウムイリド触媒を活用する新たな不斉反応設計に有用な指針を与えるものである。