表題番号:2025C-137
日付:2026/03/21
研究課題超離散力学系における非線形波動の伝播現象についての研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 山崎 義弘 |
- 研究成果概要
- 本研究では、ホップ分岐によりリミットサイクルを示す力学系モデル(Sel’kovモデルおよびnegative feedback モデル)を対象に、トロピカル差分化および超離散化を通じて、連続系における振動現象が離散系においてどのように保持され、変化しうるかを体系的に検討した。まず、連続時間系で与えられる力学系モデルに時間刻みパラメータを導入して差分化を行い、さらに超離散化を施すことでmax-plus形式の方程式を導出した。その上で、方程式の構造を単純化したモデルに対し詳細な解析を行った結果、相平面の広い初期条件から最終的に到達する有限個の状態からなる周期解、すなわち超離散リミットサイクルが存在することを明らかにした。これは、元の連続系におけるリミットサイクルが、超離散化の過程を経ても本質的な振動構造として保持されることを示している。さらに、差分系および超離散系に対して分岐解析とポアンカレ写像に基づく相平面解析を行い、周期軌道を構成する離散状態数とモデルパラメータとの間に成立する一般的関係を導出した。また、パラメータ領域によっては準周期的な軌道が現れることを見出し、その出現機構についても明らかにした。加えて、一般化モデルに基づき、本枠組みの普遍性を確認した。さらに、これらの超離散リミットサイクル振動子を一次元空間上に配置し、隣接要素間に相互作用を導入した結合系を考察したところ、端点を固定したペースメーカー条件の下で位相波が空間的に伝播する現象を数値的に確認した。この結果は、連続系で知られる時空間パターンが超離散系においても再現されうることを示唆するものである。今後は、位相波の安定な伝播を実現する相互作用項の体系的な設計指針を確立するとともに、波長や伝播速度などの特徴量の定量評価を行い、超離散系における時空間ダイナミクスの普遍的構造の解明を目指す。