表題番号:2025C-133 日付:2026/02/02
研究課題トポロジカル磁性の生成・駆動・スイッチング現象およびその手法・技術の理論
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 望月 維人
研究成果概要

2025年度は、キラル磁性体やトポロジカル磁気テクスチャを舞台として、スピン・電荷・光・熱が相互に結合する非平衡ダイナミクスの理論研究を多角的に展開した。特に磁気スキルミオンを「準粒子」や「能動的流体」として捉える新しい視点に基づき、その集団運動が示す流体力学的挙動と情報処理機能の創出に関して重要な成果を挙げた。PNAS論文では、キラルなスキルミオン流がナノ構造内で分岐・合流・干渉を示し、論理ゲートとして機能し得ることを理論的に実証し、磁性体を用いたナノ流体論理という新分野を切り拓いた。この成果は国内外で注目を集め、複数のプレスリリースとして発信された。また、反強磁性体や磁気二層系における電流駆動スキルミオンの運動を詳細に解析し、スキルミオンホール効果の抑制機構や形状変形との相関を明らかにした。これにより、トポロジカル磁気テクスチャの高速・高安定制御に向けた基礎理論を深化させた。さらに、非相反輸送や光誘起電流、光誘起磁気相転移といった、キラル性やトポロジーに起因する新奇なスピン電荷応答現象についても理論的予言を行い、室温での非相反輸送観測を含む実験研究と強く連携した成果を創出した。加えて、交替磁性体(altermagnets)や準結晶近似系におけるトポロジカルマグノン、磁気ヘッジホッグ格子のスピン波励起など、実空間トポロジーと励起スペクトルの関係を解明し、磁性体における新たな集団励起概念を提示した。これらの成果は多数の国際会議・招待講演において発信され、トポロジカル磁性と機能創発の理論的基盤を大きく前進させた。