表題番号:2025C-132 日付:2026/03/26
研究課題結晶性・空隙率を制御した金属酸化物ナノ多孔体の合成技術開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 講師 松野 敬成
(連携研究者) 理工学術院 先進理工学部 教授 下嶋 敦
研究成果概要
 本研究では単一の結晶に多数のナノ細孔が空いた“単結晶性”金属酸化物ナノ多孔体を合成する技術の開発と、後処理による空隙率の制御について検討を行った。細孔壁の結晶性と細孔構造を精密に制御することでユニークな物性が期待でき、無機合成化学の観点から触媒・熱電変換材料の特性向上に向けた材料設計が可能になると期待できる。
 具体的な方法として、シリカナノ粒子集積体(鋳型)の内部で金属酸化物を形成し、シリカを選択的に除去することで金属酸化物ナノ多孔体を作製した。このとき、金属塩化物を前駆体に用いて空気雰囲気で酸化させることによって、鋳型内部で金属酸化物を結晶成長させられることを見出した。金属塩化物は比較的高い蒸気圧をもつため、加熱によって揮発し、鋳型内部を気相拡散する。鋳型外部へと拡散する前に酸素と反応し、核発生・核成長が起きることで、単結晶性金属酸化物ナノ多孔体が得られたと考えられる。本手法では酸化インジウムスズや酸化鉄などに適用可能であることが分かった。また、後処理によって空隙率を制御したナノ多孔体を合成できる可能性も示唆され、金属酸化物ナノ多孔体の結晶性・細孔構造を制御する手法を開発することに成功した。合成したナノ多孔体については、今後も熱電変換性能の測定、およびモデル反応を用いた触媒性能試験による特性評価を継続していく。