表題番号:2025C-129 日付:2026/04/01
研究課題新規UV吸収剤の開発を指向した半スキトネミン誘導体の合成研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 准教授 細川 誠二郎
研究成果概要

応募者はシアノバクテリアが生産するUV吸収物質スキトネミンの全合成を達成している122回有機合成シンポジウム(2023年)にて発表。スキトネミンは二量体であり、同じ湾曲構造の連続三環式共役単量体が中央で単結合によりつながっている構造をもつため、2つの単量体構造がほぼ直交した状態になっている。したがって、単量体構造のスキトネミン(半スキトネミン)がスキトネミンと同様のUV吸収作用をもつことが推察される。しかしながら半スキトネミンそのものは不安定であることが文献で示されている。本研究は先の全合成研究の知見を活かし、二量化の位置であるC1位を他の芳香族基で置換した半スキトネミン(半スキトネミン誘導体)の合成研究を行った。

 まず、スキトネミンの全合成の中間体でありBocで保護したインドールとケトンの両方を有する3,4-dihydrocyclopenta[b]indol-2(1H)-one骨格をもつ化合物のC1位への芳香族基の導入を検討したが、これは困難であることが判った。このC1位へのフェニル基の導入は、インドール部をインドリンに還元することで実現した。すなわち、Boc保護されたインドリンとケトンをもち合わせる基質に対し、臭化フェニルを触媒量の酢酸パラジウムとリガンドとしてxantphos存在下で反応させることにより、中程度の収率ながらケトンのα位(C1位)にフェニル基を導入することに成功した。得られた置換体を160℃に加熱することによりBocを除去してフリーのインドリンとした。この化合物をDDQで酸化することにより半スキトネミン構造を構築した後、酢酸存在下TBAFを作用させてフェノールに付いているTIPS基を除去し、C1位にフェニル基が付いた半スキトネミンを合成した。これにより、半スキトネミン誘導体の合成経路を確立した。現在、C1位に他の芳香族環を導入した半スキトネミン誘導体の合成を検討している。