表題番号:2025C-124
日付:2026/03/19
研究課題海外にルーツを持つマイノリティによる発話の音声認識と評価
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 准教授 | 折田 奈甫 |
- 研究成果概要
研究目的: 話者の社会的情報が音声認識に与える影響(社会的プライミング)に関する研究は欧米を中心に行われてきたが、非欧米圏での検証は限られており、また従来研究は全体的な平均値のみを分析し、時間経過に伴う変化を検討してこなかった。本研究では、日本語母語話者を対象に、社会的プライミングが音声認識の学習軌跡にどのように影響するかを検証した。
研究方法: 大学生を対象に、視覚的マッチドガイズ法を用いた聞き取り実験を実施した。参加者は、東アジア系、東南アジア系、黒人、または中国人名を伴う東アジア系の女性の顔写真のいずれかを見ながら、雑音下で提示される日本語母語話者の音声を40試行にわたり聞き取り書き起こしを行った。この聞き取り結果の正解率を分析した。
研究成果: すべての条件で非線形の学習軌跡が観察され、初期試行では急速に正答率が上昇し、その後徐々にプラトーに達することが明らかになった。重要な発見として、初期試行(1-20試行目)では条件間で学習曲線に有意な差が見られ、黒人の条件が最も急峻な学習曲線を示した。しかし、後期試行(21-40試行目)ではこれらの差は消失し、すべての条件が同程度の正答率に収束した。
この結果は、日本語母語話者においても社会的情報が初期の音声認識に影響を与えるものの、音響的証拠の蓄積により社会的バイアスが解消されることを示唆している。本研究は、社会的プライミング研究を非欧米圏に拡張するとともに、時間的変化の検討が重要であることを実証した。研究成果は国際学術誌に投稿済みである。