表題番号:2025C-122 日付:2025/10/21
研究課題感圧・感温塗料計測データに対する画像処理手法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 松田 佑
研究成果概要
感圧・感温塗料計測法は非侵襲に流れ場の圧力・温度場計測を可能とする手法として大きな注目を集めている.非常に複雑な熱流体現象において圧力・温度場を精緻に計測する技術はニーズが高く,現象理解に向け学術的なインパクトは非常に大きい.また輸送機器や熱交換器において,圧力・温度場を詳細に計測して現象理解することは,これらの機器の性能向上に大きく貢献することができ,感圧・感温塗料計測法は産業面からも大きな期待を集めている.一方,圧力・温度場の変化が小さい場合にはそれらの情報が計測ノイズに埋もれてしまうという欠点があり,ノイズ除去法の開発が重要となっている.これまでに申請者らはスパースモデリングを用いた手法を開発している.これは感圧・感温塗料の計測データを特異値分解した際に,特異値の高次に相当する正規直交基底がノイズ成分に対応することが多いことに着目し,計測データの再構成にこれらの基底成分を0とすることでノイズを除去する.この際に再構成に用いる基底の選択をスパースモデリングにより行う手法である.この手法は非常に強力であるものの,特異値分解によって上手くノイズ成分を抽出することができない現象がある.例えば進行波のような現象においてノイズの分離がうまくできないことが知られている.そこでこのような現象に対して本研究では深層学習を活用することとした.今年度においてはオートエンコーダによる次元圧縮を活用することでノイズ成分を抽出する手法の開発を行った.提案手法はトイ・プロブレムに対して有効であることを確認した.次年度以降においては,実際の計測データに対して提案手法を適用することで有効性を確認していく.