表題番号:2025C-114 日付:2026/02/02
研究課題海底鉱物資源およびその陸上アナログの成因研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 野崎 達生
(連携研究者) 高知大学 短期研究員 中山健
(連携研究者) 海洋研究開発機構 主任研究員 牛久保孝行
(連携研究者) 海洋研究開発機構 主任研究員 清水健二
(連携研究者) CSIC / UCM 教授 Fernando Tornos
研究成果概要

今年度は,宮崎県槙峰鉱床,北海道下川鉱床およびスペイン南西部Iberian Pyrite Belt (IPB) San Telmo鉱床について,野外調査,鉱物学的記載,化学分析を行った.槙峰鉱床については,野外調査および岩石試料採取を行い,下川鉱床については共同研究者から提供して頂いた中ノ沢鉱体のボーリングコア試料を,San Telmo鉱床については,2024年度に採取した岩石試料を用いた.まずは,岩石・鉱石試料の研磨片を作成し,反射偏光顕微鏡を用いて構成鉱物同定および組織観察を行った.次に,X線粉末回折装置 (XRD) を用いてさらに構成鉱物の同定を行い,電子プローブマイクロアナライザ (EPMA) を用いて鉱物化学組成の測定を行った.その後,局所硫黄同位体分析に適した黄鉄鉱を組織ごとに抽出し,二次イオン質量分析装置 (SIMS) を用いて硫黄同位体測定を行った.その結果,宮崎県槙峰鉱床および下川鉱床では,フランボイダル黄鉄鉱および自形黄鉄鉱から-25‰よりも低い硫黄同位体比組成 (d34S) が検出され,鉱床初期形成過程におけるバクテリア硫酸還元 (BSR) の重要性が示された.一方,San Telmo鉱床の黄鉄鉱は,低いd34Sを示す分析点が2点あったものの,それ以外のd34Sはおおむね-5+5‰を示し,黄鉄鉱中の硫黄の起源として微生物活動を想定しなくても,マグマ起源の硫黄か海水硫酸の熱的硫酸還元 (TSR) で説明できる結果となった.極めて低いd34Sについては,虫食い状組織を示す黄鉄鉱粒子の外側から検出されたため,鉱床形成後の二次的な風化作用による硫黄酸化細菌などの影響を見ている可能性がある.今後,Iberian Pyrite Beltについては,San Telmo鉱床の試料の追加分析およびSan Telmo鉱床以外の鉱石について比較研究を行っていく必要がある.