表題番号:2025C-109 日付:2026/02/26
研究課題ペロブスカイト太陽電池吸光材料の非鉛化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 山本 知之
(連携研究者) National Academy of Sciences of Tajikistan Leading Researcher Dilshod Nematov
(連携研究者) National Academy of Sciences of Tajikistan Leading Researcher Amondulloi Burkhonzoda
(連携研究者) National Academy of Sciences of Tajikistan Researcher Zafari Umar
(連携研究者) University of Tartu Professor Mihail G. Brik
研究成果概要
次世代太陽電池として注目を集めているペロブスカイト太陽電池は,近年目覚ましい発展を遂げており,その発電効率はSiや化合物半導体を用いる従来型と同等レベルまで達してきており,実用化に向けた取り組みが全世界で進められている.しかしながら,現在ペロブスカイト太陽電池の吸光層材料にはMAPbI3(MA:メチルアンモニウム)等が広く用いれており,これらの物質に鉛が含まれることから,環境への影響が懸念されている.本研究では,ペロブスカイト太陽電池の吸光材料において,鉛を他の元素で置き換えて非鉛化した吸光材料の開発を目指している.本年度の研究においては,鉛フリーのペロブスカイト材料の構造,および電子的,機械的,および光学的特性を系統的に解明することを目指して,密度汎関数法に基づく第一原理計算を行った.その中でも特に,beta-CsSnX3(X = I, Br, Cl)に関する計算を行った.まず構造面では,加圧に伴う格子定数の減少と軌道ハイブリダイゼーションの強化により,バンドギャップが0.3〜0.5 eV程度一貫して縮小(狭帯域化)することが示された.機械的特性においては、弾性定数がBornの安定性基準を満たしており,広い圧力範囲で高い安定性を維持していることに加え,この物質が優れた延性を有することが確認された.更に光学特性に関しては,圧力誘起による吸収端のレッドシフトが生じ,特に低エネルギー領域(1〜2 eV)での光吸収強度が30〜50%向上することが判明した.また,デバイ温度が25〜40%上昇したことも示され,熱的安定性の向上が示唆された.これらの知見は、ひずみ工学を用いた高効率な太陽電池や光検出器などの次世代光デバイス開発における材料設計の重要な指針となりうるものと考えられる.