表題番号:2025C-098 日付:2026/04/03
研究課題超音速航空機に適合したBusemann型インテークの最適化研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 佐藤 哲也
研究成果概要

本課題では、超音速航空機に適用可能な高効率インテークの実現を目的として、Busemann型インテークの最適化に関する研究を行った。Busemannインテークは理論的に高い圧縮効率を有する一方で、粘性の影響により境界層が発達すると有効流路断面積が減少し、設計点においても始動性が損なわれるという課題があった。

そこで本研究では、従来形状に対して数値解析を行い、設計マッハ数2.0において不始動となることを確認した。この結果から、収縮比の過大化および境界層の影響が主因であると考え、収縮比の低減と境界層補正を導入した新たなインテーク形状を設計し、最適化を図った。


設計形状に対しては、RANSおよびLES(ILES)による数値解析を行い、内部流れ場の構造を評価した。その結果、解析手法の違いにより剥離領域や衝撃波構造に差が生じること、さらに一部条件ではスパン方向の非対称性が発生し、流れ場が偏った状態で維持されることが確認された。特にLESにより、RANSでは捉えにくい非定常挙動や局所構造の把握が可能となり、設計に対する重要な知見が得られた。さらに、境界層補正を施した形状について風洞実験を行った。全圧回復率および流量捕獲率はCFDと概ね一致し、本設計手法の妥当性が確認された。また、始動・不始動遷移に伴う衝撃波構造や性能変化を整理し、広い作動条件での挙動を把握した。


以上より、境界層補正と収縮比の調整を組み合わせた設計が、Busemannインテークの始動性および性能向上に有効であることを示した。一方で、不始動時の非対称剥離や圧力変動など、非定常現象には未解明な点が残る。今後はLES解析と高速応答圧力計測を組み合わせ、非定常特性の解明を進めるとともに、設計マッハ数以外を含めた広範囲での調査を行い、実機適用に向けた設計指針の確立を目指す。