量子コンピュータは、従来の古典計算システムと比較して、特定の分野あるいはアプリケーションプログラムにおいて有効な計算システムを提供することができるとされるものの、(1)演算に必要なビット数がアプリケーションプログラムの必要とするビット数に比べ小さく、実用規模のアプリケーションプログラムを直接量子コンピュータで演算することができない、(2)量子コンピュータは現在開発途上の計算エンジンであり、量子状態やノイズ等の影響により必ずしも所望の計算結果が得られるとは限らない、といった問題がある。これら量子コンピュータの問題点について、ソフトウェアの観点でカバーしながら、量子コンピュータが持つ計算能力を最大限引き出すことが不可欠となる。

本研究では、組合せ最適化問題に焦点をあて、実用問題を想定しながら、量子アニーリングマシン、NISQデバイス、ならびに初期段階を含む誤り耐性量子コンピュータに向けて、さまざまな組合せ最適化のためのアルゴリズム基盤を構築を目的に、問題の簡略化手法、現問題から部分問題を抽出する手法、さらにこれらの技術を組み合わせて実問題を解法する取り組みを行った。

特にいくつの研究開発プロジェクトと合わせて、上記により研究した基盤技術の有効性を評価し、実問題の適用可能性を検討した。