表題番号:2025C-089 日付:2026/02/03
研究課題なぜ顧客は接客態度が悪いサービスを利用するのか 〜ベトナムの「罵倒麺」を事例に〜
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 ビジネス・ファイナンス研究センター 助教 グェン フォン バオ チャウ
研究成果概要
 本課題は、サービス提供者による無礼な接客にもかかわらず、顧客がサービスを利用し続ける理由の解明を目的として申請した。既存研究では、顧客の継続利用はロイヤルティ、スイッチングコスト、慣性によって説明されてきた。しかし、(1)無礼な接客はロイヤルティの前提となる好意的態度と整合しない点、(2)飲食店利用のスイッチングコストは極めて低い点、(3)観光客など一見客の選択行動は慣性で説明できない点から、既存の枠組みでは無礼な接客の「許容」を十分に説明できない。
 そこで本研究では、無礼な接客で知られるベトナムの飲食店に関するソーシャル・メディア上のコメントを収集し、顧客がそれを許容する理由を定性的に分析した。その結果、(1)接客よりも料理の質を優先する、(2)無礼な態度は他者に向けられたものであり、自身とは切り離して認識する、(3)無礼さを「個性」などと再解釈する、(4)好奇心や正義感に動機づけられ利用する、という4つの主要因が明らかになった。本分析結果は、2025年開催の国際学会Australian & New Zealand Marketing Academy Conference (ANZMAC)において発表した。
 今後の展開として、第一に、現状の「許容」する顧客に加え、理解と批判の双方を併せ持つ「中立的」立場の顧客コメントも分析対象とし、理論的精緻化を行った上で国際ジャーナルへの投稿を目指す。第二に、どのような顧客特性や文脈条件下であれば無礼なサービスが許容されるのか、また、許容されうる無礼の種類や理由付けについて検討する追加研究へと発展させる予定である。