| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 商学学術院 商学部 | 教授 | 新井 剛 |
- 研究成果概要
本研究は、不動産「所有権」・「利用権」・「担保権」を3本柱にしながら、関係する諸法令や諸制度を適切な箇所に盛り込むスタイルを採用した『不動産法概説』のテキストを完成させるために、不動産法を研究するものである。本年度は、不動産「担保権」を中心に研究をした。対象としたのは、⑴抵当権、質権の典型・約定担保物権、⑵留置権、先取特権の典型・法定担保物権、⑶譲渡担保、仮登記担保、所有権留保の非典型担保物権である。
⑴ に関しては、まず抵当権について、抵当権の本質である➀非占有担保性と②優先弁済請求権(民法369条1項参照)から、各制度や判例の趣旨、各判例群の整合性を考察することを試みた。特に、抵当権の賃料に対する物上代位に関する一連の判例群および抵当権に基づく明渡請求等に関する一連の判例群に関しては、それらに批判的な学説も含めて整理し、その意義と整合性に関して再検討をおこなった。次に質権については、不動産質権の活用可能性に関して慎重に検討した。
⑵ に関しては、まず留置権成立の中核的要件である「牽連性」について、その内実を各判例群を整合的に理解するという視点から再検討した。次に先取特権については、各対象債権に関して優先弁債権が認められる理由を丁寧に考察し直すという作業をおこなった。
⑶ に関しては、特に譲渡担保と所有権留保に関して、各判例の意義を今一度精緻に考察するという作業をおこなった。また、2025年5月30日に成立した「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」に関しては、前者は不動産を対象としていないので、本『不動産法概説』には直接の影響を及ぼさないが、後者は影響を及ぼすものとして、その意義と実務への影響等に関して検討をおこなった。
以上を踏まえて、『不動産法概説』を完成させ、公刊できるよう微力を尽くしたいと考えている。