表題番号:2025C-067 日付:2026/03/30
研究課題雄の細胞質DNAの破壊者は何か? 〜近隣標識法で解く母性遺伝の基本原理〜
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 西村 芳樹
研究成果概要

ミトコンドリアおよび葉緑体は独自のゲノムをもち、これらは多くの真核生物で母性遺伝するが、その分子機構はいまだ不明確である。単細胞緑藻クラミドモナスでは、雌雄同型の配偶子が融合して接合子が形成されたのち、わずか60〜90分ほどで雄の葉緑体DNA-タンパク質複合体(核様体)が消失する。雄葉緑体核様体が選択的に消失する分子機構を明らかにするために、雄葉緑体核様体において近隣標識法(TurboID)を試みた。

葉緑体核様体の主要構成因子にTurboIDを融合し、さらに局在を明確にするために、蛍光タンパク質も付加した。このキメラタンパク質を雌側、雄側いずれかで発現させれば、接合子のなかで雄側葉緑体核様体が消失する際に近傍に存在するタンパク質群を網羅的に同定することができるはずである。

 コンストラクトを作成し、緑藻クラミドモナス細胞に導入して蛍光タンパク質のシグナルをもとにスクリーニングをおこなったが、ポジティブな株はほとんど得られなかった。1株だけ得られた候補株について、ウェスタンブロット解析をおこなったところ、得られたバンドのサイズは期待されるものより小さく、おそらくTurboID部位が削れたものであった。これよりTurboIDHUの機能に干渉する可能性が考えられた。そこでHBD1TurboIDの付加を試みたものについては期待されるサイズのシグナルを得ることができたことから、ビオチン化条件の最適化を進める