表題番号:2025C-065 日付:2026/03/31
研究課題マングローブ林堆積物における好気的・嫌気的有機物分解と溶存無機炭素生成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 准教授 吉竹 晋平
(連携研究者) 先進理工学研究科生命理工学専攻 大学院生 月本将太郎
研究成果概要

熱帯・亜熱帯沿岸に見られるマングローブ林は、海水由来の高塩分環境および潮の満ち引きによる湛水環境にさらされるため、堆積物中の有機物分解が非常に遅いと考えられてきた。しかし近年、マングローブ域からはかなり多くの炭素が、溶存無機炭素(Dissolved Inorganic Carbon; DIC)として流出していることが報告されつつある。このDICは堆積物表層の一般的な好気的分解だけでなく、土壌深層の酸素に乏しい環境での嫌気的分解でも生成することが考えられたため、本研究では湛水条件下での好気的および嫌気的なDIC生成・放出速度を明らかにすることを目的とした。

沖縄県石垣島がぶるまた川マングローブ林を調査地とした。中央に位置する中洲の本流沿い、中央、支流沿いの3地点において、表層(0-5 cm)及び深層(90-100 cm)の堆積物を採取して実験室に持ち帰った。密閉容器に堆積物を入れ、溶存酸素が飽和した状態の人工海水で満たした状態(嫌気条件)、または溶存酸素濃度がほぼゼロの人工海水で満たした状態(嫌気条件)で培養を行った。一定間隔で採水してDIC濃度を測定し、その経時変化からDIC生成速度を算出し、堆積物の深度及び酸化的/還元的条件による差を評価した。

好気条件における堆積物のDIC生成速度は概して表層で高く、深層で低かった。嫌気条件にすると表層のDIC生成速度は大きく低下したが、深層のDIC生成速度は嫌気条件下でも大きく低下せず、特に中州中央および支流沿いの地点では表層におけるDIC生成速度を上回っていた。以上のことから、普段酸素に曝されることが多い堆積物表層では好気分解が卓越しているが、深層では嫌気条件下でも有機物分解に伴うDIC生成が起こること、そしてその量が無視できない可能性が示された。