表題番号:2025C-063 日付:2026/03/27
研究課題競争的資金の審査プロセスに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 大西 宏一郎
研究成果概要

アカデミックにおける研究費の獲得は研究を継続的に進めていくために不可欠である。しかしながら、そのような研究費の獲得が実際にどの程度研究の生産性を高めるのかについては十分に明らかになっているとはいいがたい。そこで、本研究では日本における代表的な競争的資金である科研費の採択が、非採択者と比較してどの程度研究の生産性を高めたのかをデータを用いて実証的に分析した。暫定的な分析結果は以下のとおりである。科研費取得の効果であるが、少ないながらの先行研究からわかることとして、総じて研究者への研究費の配分は非採択者と比較して十分に論文アウトプットに差がないことが知られている。本研究で科研費のデータを用いて因果推論として分析したところ、同様に研究費の配分による研究生産性の上昇効果は小さいことを示す結果を得た。その結果を受け、なぜ研究費の効果が十分でないのかを追加的に分析した。その結果、非採択者は自身の研究費を補うために他の研究の分担者になる等により、自身の研究を継続する行動が観察された。すなわち、採択者での生産性上昇効果が小さいのではなく、非採択者の生産性が落ちないことが背景にあることを示す結果を得た。このように非採択者の行動が変化することにより、結果として研究費の配分による生産性上昇効果は過小に推定される可能性があると言える。ただし、この結果は暫定的なものであり、更に厳密に分析を実施していく予定である。