表題番号:2025C-062 日付:2026/03/02
研究課題『唯物論研究』の体系的研究に向けて
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 千野 貴裕
研究成果概要
本研究は、1930年代に刊行された『唯物論研究』という雑誌の体系を明らかにするための予備的調査を目的としたものであった。『唯物論研究』は、当時の文化、社会、政治的文脈を反映した学術文化雑誌であり、もはやその文脈から遠く遠ざかった21世紀の現代からすると、雑誌内での議論がどのような文脈において行われているかが不分明である。したがって、『唯物論研究』の内容を理解するためには、雑誌が刊行されてた当時の社会的文脈を明らかにし、その文脈に照らして個々の論稿等を読む作業が求められる。本研究によって、『唯物論研究』とそこから生まれた『唯物論全書』の複数の版を比較検討し、またまだ少数ではあるが、当時の会報や「月報」等を入手することができた。これらの月報は、実現しなかった計画や研究会等の案内を含む重要な情報を含んでいるものの、図書館のOPAC等では所蔵が確認できない、貴重な資料であることがわかった。本研究を通じて、このように貴重な資料を発掘できたことで、『唯物論研究』の体系を明らかにする作業の必要性と重要性がわかった。本研究もその一部となった研究成果としては、Takahiro Chino, "Encyclopedist Tosaka Jun", The Tetsugaku Companion to Japanese Philosophy: Tosaka Jun, F. Wirtz et al. eds., Springer, 2026がある。