表題番号:2025C-050 日付:2026/04/02
研究課題近代諸帝国をめぐる記憶の多重性についての基礎的調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 佐藤 尚平
研究成果概要
今日のほとんどの国は、近代諸帝国から独立することで、あるいはその延長として、発展してきた。そして多くの場合、帝国主義は不当で暴力的な統治だったと記憶されている。社会を分断させて今日に至る紛争の火種を創り出した権化と言われることも珍しくない。他方で、近代化の光に重ねられることもある。帝国主義とその終焉についての記憶は、意外と二面的だ。この背景には、過去それ自体の多様性に加えて、それぞれの記憶が、客観的な装いをまといつつ、各地域の発展とも密接に結びついて変容してきたということがある。事実と倫理が交差するこのテーマは、分断が先鋭化する現代社会のアイデンティティの核にあるとも言えるだろう。ここに光を当てるための一歩として、本課題では、申請者がこれまで行ってきた歴史研究に加えて、記憶研究の知見を参照することを目指した。まず国内の研究会では前者における本研究の位置付けを整理し、さらに国際学会(Memory Studies Association)での報告を通じて後者の一線に立つ研究者らと意見交換することが出来た。