表題番号:2025C-047
日付:2025/11/08
研究課題日本と世界の動物認識の比較研究—猫を中心に—
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 真辺 将之 |
- 研究成果概要
- 申請者は2021年に発表した書籍『猫が歩いた近現代』において、日本の近現代における人間と動物の関係の歴史的変化を、特に猫を中心に描いた。他方、申請者は2021年度特別研究期間において、ベルギーに滞在し、ヨーロッパ各地の猫の文化に関心を抱くようになった。また以前より度々中国や台湾を訪問し、その地域での人と動物の関係史の調査を行ってきた。ヨーロッパの猫と人間の関係は、例えば中世では悪魔の使いとして猫が迫害され、近代には日本よりも早く猫のペット化・家族化が進むなど、筆者が『猫が歩いた近現代』で描いた日本の事例に比べても、さらに変化の激しく多様性を帯びた歴史を持っている。本課題では、ヨーロッパと中国・台湾・韓国等の国・地域における猫をめぐる歴史と文化を、これまでの研究の延長線上にさらなる調査を行い、それを日本の猫文化のあり方と対比させてその相違と相似ならびにその歴史的・社会的背景に迫るべく、研究を進めた。具体的には、フランス、オランダ、ドイツ、韓国、そして中国へと渡航し、各種文献を調査するとともに、フィールド調査を行い、猫や動物に関する銅像、ストリートアート、絵画、碑文などを調査した。また韓国・春川の翰林大学で行われた東アジア日本研究者協議会に出席し、人間と動物の関係史特に動物慰霊碑に関する研究報告を行った。また『早稲田学報』2025年6月号特集「知の開拓者たち」に、研究代表者への取材記事「猫と人の歩んできた歴史」が掲載され、これまで進めてきた研究成果の一端を披露することができた。またヨーロッパにおける猫を中心とする人と動物の関係史については、近い将来書籍を発表する予定であり、現在執筆を進めている最中である。