表題番号:2025C-042 日付:2026/03/11
研究課題軍記物語における京を取り巻く環境の表象に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 和田 琢磨
研究成果概要
『保元物語』『平治物語』『平家物語』『承久記』といった軍記物語には京都をめぐる叙述、京都周辺についての描写がしばしば認められる。中でも『太平記』をはじめとした14世紀(南北朝時代)以降の合戦は、首都京都をめぐる権力闘争という史実を反映していることもあり、京都をめぐる攻防、京都における合戦がよく語られている。しかしながら、南北朝時代・室町時代の京都の様相――街の構造、建築物や道の位置など――についての詳細ははっきりとしていない。現在とは大きく異なっていたことは確かである。そこで、本研究では京都周辺のフィールドワークを行い、『太平記』を中心とした軍記物語の叙述内容と照らし合わせることで、物語の語られ方や視点の特徴を理解することを目指した。今回は、特に、西側(石見・播磨方面)へとつながる道と布陣した場所や桂川周辺の踏査を行い、実際の地理感覚をつかんだ。これにより、物語や当時の記録類から伺える人々の動きと現代人の感覚の違いを知ることができたとともに、所謂「洛中」(京都の中心部)が現代、あるいは近世のそれとも異なっているのではないかという視点を持つことができた。この成果を踏まえ物語の読みを深めるとともに、京都周辺のフィールドワークと作品の読みを絡めた研究をさらに進展させることにつなげていきたいと考えている。