表題番号:2025C-036
日付:2026/04/02
研究課題移民ポピュリズムの生起と拡大に関する国際社会学的研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文化構想学部 | 教授 | 樽本 英樹 |
- 研究成果概要
- 英国に着目すると、2024年以後いくつかの移民排外主義的な事件が起こった。第1に、イングランド北西部の港町Southportで少女3名が刺殺される事件が起き、容疑者は庇護申請者だというデマがはびこり、抗議運動が起き一部暴徒化した。ロンドンの北東に位置するEppingでは、庇護申請者が14歳少女に性的暴行を行った事件をきっかけに、庇護申請者の宿泊する「庇護ホテル」への抗議運動が各地で生じ、一部暴徒化した。ロンドン中心部では、移民たちの排斥を唱えるUnite Kingdom Rallyに11万人から14万人の群衆が集まった。さらに、マンチェスター北部のシナゴーグに男が車とナイフで参拝者などを死傷させた。これらは英国社会の反移民右翼変動を示しており、その原因にはいくつが想定される。第1に、上記3つの事件には極右ポピュリズムの勢力が絡んでいる。SNSで容疑者が庇護申請者だとデマを流し、抗議運動を呼びかけ、デモを組織している。極右活動家Tommy Robinsonはその典型である。第2に、政党もそこに関与している。Nigel Farage率いるReform UKがその代表格である。他国で言えば、ノルウェーの進歩党などと類似している。第3に、ドーバー海峡を小型ボートで渡る移民・庇護希望者が続出している。報道を目にした人々の一部は。反移民・難民・庇護申請者というスローガンに感化され、上記の事件に関与した。第4に、英国社会がEU離脱後グローバル化の悪影響を受けていることがある。特に、イングランド北部の元鉱工業地帯の経済的停滞は人々を反移民へとかきたてている。こうした要因が日本の事例、特に参政党の伸張と共通性をもつのかどうかなど、今後研究を行っていかなくてはならない。