表題番号:2025C-035
日付:2025/11/01
研究課題前近代の東=東南アジア間における多国間陶磁交易に関する歴史考古学研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文化構想学部 | 教授 | 田畑 幸嗣 |
- 研究成果概要
- 本研究は、前近代の日本、カンボジア、フィリピン間で行われた多国間陶磁器交易の実態を考古学的に解明することを目的とする。具体的には、各地の出土品(主にカンボジア産クメール陶器)を対象に、産地、年代、組成を分析し、交易の生産から消費までのシステムモデルを構築する。また、従来の南海交易の歴史モデルと考古学モデルを比較・統合することで、15〜18世紀の東アジアと東南アジア間の交易・交流史を復元する。 特に、フィリピン・カンボジア出土クメール陶器の資料調査を実施し、型式学的分類、年代・産地の推定から、交易関係の実態解明を目指す。本年度は、本格的な多国間陶磁器交易・交流史の復元研究のための基盤形成として、フィリピン・カンボジアでの出土資料調査を実施した。フィリピンでは、南部ミンダナオ島でクメール陶器伝世品を確認し、実測・写真撮影・観察表作成をおこなった。また、クメール陶器とともに、非常に多量の中国陶磁と、少なからぬ東南アジア産陶器類の出土を確認し、フィリピン南部が多国間陶磁器交易のセンターのひとつであることを確認した。