| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 渡辺 徹也 |
- 研究成果概要
本研究の目的は、AIおよびデジタル技術が企業税制に与える影響を取り上げて税制面から検討し、現行制度の問題点を指摘した上で、あるべき税制を検討することにある。その際には、納税者と課税庁側の双方にとって、デジタル化やAI化がもたらすものを正と負の両方の局面から考えることにした。
まずデジタル化については、特にギグワーカーの申告について、プラットフォーム企業をうまく関与させうることが判明した。日本でもコロナ禍を挟んで副業が盛んになったが、これらいわゆるギグワーカーの申告については、給与所得とは異なり、所得の捕捉が難しいという問題が指摘されてきた。しかし、プラットフォーム企業の多くがスマホなどのデジタル機器を使って契約を行い、その記録が電子的に残るので、課税庁がこれらの記録にアクセスすることを許すことで、補足率は大きく向上することが予想される。現行法でも課税庁には一定の調査権限があるが、デジタル化に応じた追加の法律改正が必要と思われる。
デジタル化の先にはAI化がある。納税者にとってAIは税務について知るための強力なツールになる。特に、納税者がどのような形で取引を行うか迷っている場合、「取引前」に課税結果を知ることができるのであれば、大変有益であろう。また、「取引後」においても、正しい申告を補助するツールとして生成AIが有効に機能することが考えられる。生成AIは課税庁にとっても利点がある。これを上手く利用すれば、課税庁内部におけるデータ分析、その結果の管理および利用が効率化・高度化され、マンパワーの節約になることが予想される。課税庁による生成AIの導入は、文書の作成などの複雑なタスクを簡略化し、効率性を高めることに繋がり得る。その一方で、納税者のプライバシーの保護あるいは機密保持についても考慮されなければならない。