表題番号:2025C-015
日付:2026/03/30
研究課題言語使用からみるドイツの社会と共生
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 星井 牧子 |
- 研究成果概要
本研究では、ドイツ語圏における・ドイツ語に関する議論を通して、ことばによる包摂と排除、ことばと社会のかかわりについての考察を試みた。具体的には、Geschlechterneutrale Sprache(ジェンダーに中立なことば)をめぐる議論、情報提供とLeichte Sprache(やさしいことば)、学校教育におけるMehrsprachigkeit(多言語性)を考察対象としたが、この3つはいずれも社会における共生と言語使用の交錯点と捉えることができる。
多言語性については、従来、ドイツ語習得状況によってDeutsch als Fremdsprache(DaF、外国語としてのドイツ語)、Deutsch als Zweitsprache(DaZ、第二言語としてのドイツ語)、さらにDeutsch als Erstsprache(DaE, 第一言語としてのドイツ語)という概念が使われてきたが、その代替案として、新たにDeutsch als Sprache(n)(DaS, 言語としてのドイツ語)が提示されている。その背景には、DaZが社会的差別のレッテルとされることが挙げられているが、DaSと1つにまとめることにより、名称を変えるだけでは、第2言語話者に対する差別構造そのものを変えることにはつながらず、むしろ学習環境により必要なサポートが異なる点が不可視化されてしまう懸念がある。
DaF/DaZ/DaEを巡る議論に関する考察の一部は、Prof. Dr. Miyoung Lee(ソウル大学)との共著で論考をまとめ、Deutsch als Fremdsprache 誌に投稿した(採択済み)。また2026年3月にはウィーンにてProf. Karen Schramm(ウィーン大学)およびDr. Nicole Schumacher(ベルリン・フンボルト大学)とドイツ語教育を巡るドイツおよびオーストリアの状況と最新の議論についての意見交換および資料収集を行った。今後は社会における共生とドイツ語学習の役割に関する考察をすすめ、授業等を通じて学生に還元したい。