表題番号:2025C-008 日付:2026/04/01
研究課題欧米の気候政策に対する日本・アジア・豪州での炭素価格・国境炭素調整の連携の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 有村 俊秀
(連携研究者) 総合研究機構・環境経済経営研究所 招聘研究員 森村将平
研究成果概要

本研究は、脱炭素社会の実現に向け、日本とオーストラリア(豪州)の制度的連携の可能性を、CCS(二酸化炭素回収・貯留)および低炭素水素を中心に検討したものである。カーボンニュートラルの達成には、エネルギー多消費産業におけるCCSや水素の活用が不可欠であり、国際的なサプライチェーンの構築が求められている。特に、日本は技術面、豪州は資源・立地面で優位性を持つことから、両国の連携が有望視される。

日本では、二国間クレジット制度(JCM)や水素社会推進法を背景に、低炭素水素サプライチェーンの構築が進められているが、水素製造時のCO₂排出の測定方法や制度設計が課題となっている。一方、豪州では排出量や原産地情報を重視する「Guarantee of Origin(GO)」制度の導入が進み、低炭素製品の信頼性確保が図られている。

日豪間のJCM締結は制度上可能であり、グリーン水素や合成燃料などの分野での協力が期待されるが、現行JCMは手続きの遅延や制度運用の非効率性といった課題を抱えている。また、CO₂排出量の測定・記録方法の相互承認が、将来的な連携の基盤として重要であると指摘される。

さらに、日本で回収したCO₂を海外に輸送・貯留する「越境CCS」はJCMの対象外であり、制度的支援の不足が課題である。英国の支援制度なども参考に、リスク対応や収益安定化の仕組み整備が求められる。今後は企業調査やワークショップを通じて、より具体的な日豪連携のあり方を検討していく予定である。