表題番号:2024R-065
日付:2025/04/02
研究課題カーボン界面構造制御によるバンドギャップエンジニアリング
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学術院 大学院情報生産システム研究科 | 教授 | 植田 研二 |
- 研究成果概要
- 本特定課題は科研費連動型(評価連動型)の課題であり、科研費萌芽申請で、A評価で不採択となったカーボン界面構造制御によるバンドギャップ(Eg)エンジニアリングに関連するものである。研究目的としては、炭素材料の構造制御(特に歪み制御)により、Egを広範囲(0~ 5.5 eV)かつ連続的に変調させる事及び、5.5 eV以上のEgを有する炭素材料の創製を目標とした。具体的な研究手法としては、ダイヤモンド(Eg= 5.5 eV; sp3炭素)とグラフェン(Eg= 0 eV; sp2炭素)を積層させ、各層の層数や配向性を制御する事によりEgを連続的に変調可能な材料系を創製する事を目指した。この為にはまず高品質グラフェン層をダイヤモンド上に合成する必要がある。これについてはダイヤ上へのグラフェン層の転写により達成可能であり、グラフェン転写時の圧力印可度の制御がキーである事が分かった。ラマン測定により、単層(2D/Gピーク比:1.2)かつ低欠陥(D/Gピーク比:0.28)のグラフェンのダイヤモンド上への形成が確認できた。また、単層グラフェンの転写を繰り返す事により多層グラフェンのダイヤモンド上形成も可能となった。今後、これらグラフェン/ダイヤモンド積層構造にアニール等を行う事によりグラフェン構造に歪みを与え、Egの連続的な増加(0→5.5eV)を試みる予定である。また、ダイヤモンドより大きなEgを持つ材料創製に向けて第一原理バンド計算(Quantum espresso)によるEg評価を行った所、ダイヤモンドに~5%の圧縮歪みを与える事でEgが6.3eVとなる可能性が示唆された。現在ダイヤモンドに大きな圧縮歪みを与える技術について検討中である。この様にグラフェン/ダイヤモンド構造によるEg制御に目途が立ったので今後研究を加速していき目標を達成したい。