表題番号:2024R-056
日付:2025/10/13
研究課題ジルコノセン/可視光レドックス協働触媒系による天然炭素資源の触媒的変換
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 高等研究所 | 准教授 | 太田 英介 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 山口潤一郎 |
- 研究成果概要
- 本研究では、従来の可視光レドックス触媒反応では活性化が困難であったエーテルやアルコールのC–O結合に着目し、ジルコノセン/可視光レドックス協働触媒系を用いた新たな結合活性化法を開発した。本触媒系で生成するZr(III)種を鍵中間体とし、強力なZr–O結合形成を駆動力としてC–O結合を開裂させることに成功した。可視光照射条件下、環歪みを持たないベンジルエーテルやベンジルアルコールの脱酸素化を実現し、対応する水素体へ効率的に変換することに成功した。さらに、芳香族カルボニル化合物の脱酸素化にも適用可能であり、天然物由来分子にも対象を拡張できることを示した。反応機構解析の結果、Zr(III)が触媒活性種であること、反応はラジカル経路で進行することが示唆された。これらの成果は、酸素原子を豊富に含む天然炭素資源の変換を可能にするものであり、チタン触媒を用いる触媒反応では達成し得なかった基質汎用性を実現した点で重要である。本研究により、ジルコニウムの強力な酸素親和性を利用した新しいラジカル生成手法が確立でき、C–O結合の選択的開裂に基づく触媒的炭素資源変換の新展開に資する基盤を構築した。本研究における成果はTetrahedron letters誌(Special Issue、招待論文)に掲載された。