表題番号:2024R-054 日付:2025/04/01
研究課題超幾何モチーフのL関数の特殊値に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 根本 裕介
研究成果概要
本年度は前年度までに得られたFermat曲線の商のCeresaサイクルの非ねじれ性に関する結果を論文としてまとめ投稿した. この論文はCanadian Mathematical Bulletenから出版済みである. この結果を多くの研究集会で発表し, 参加者とともに議論をすることで, 多くの知見を得た. また, 海外の代数的サイクルの専門家とも議論をし, 今後の研究の見通しを立てることができた. 結果のさらなる一般化に向けて, 引き続き研究を進める予定である. また, 本年度はp進超幾何関数に関する結果もいくつか得ることができた. 具体的にはDworkが定義したp進超幾何関数に関してその変換公式を得た. Dworkのp進超幾何関数はLegendre型の楕円曲線の単数根を記述する, 数論的にも重要なp進解析関数である. 複素数体上の超幾何関数は数多くの変換公式や和公式が知られているが, Dworkのp進超幾何関数について, これらが知られている例は非常に少ない. 近年, Wangによって, Dworkのp進超幾何関数のtと1/tの間の変換公式が成り立つことが予想され, 超幾何関数のランクが小さい場合は, いくつかの仮定のもとでこの予想が正しいことを証明した. 本年度は, Wangと同じ仮定のもとで, 任意のランクのDworkのp進超幾何関数に対して, この予想が正しいことを証明した. 証明の方針は, 超幾何モチーフの間の同型を具体的に構成することである. 超幾何モチーフはそのFrobenius固有値がDwrokのp進超幾何関数で記述できることがしられており, したがって主結果は2つの超幾何モチーフのFrobenius固有値を比較することで得られる. これらの結果は近く論文にしてまとめ, 投稿する予定である. 本年度はp進超幾何関数に関する研究が進展したものの, レギュレーターやL関数の特殊値に関する研究に関しては, あまり進展が見られなかった. これらの研究課題に関しては, 次年度も引き続き研究を進めていく予定である.